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25

NOV

2016

2016 G空間EXPOシンポジウム開催

宇宙技術・地理空間技術を利用した社会イノベーション 〜スキルと知識を超えたコンピテンシーによる人材育成〜

2016.11.25 13:00 ~ 2016.12.25 17:00

  • CATEGORY: シンポジウム

パネルディスカッション(1)

11月24日(木)~26日(土)にわたって日本科学未来館にて「G空間EXPO~地理空間情報科学で未来をつくる~」が開催されました。その一環として11月25日(金)13:00~17:00、イノベーションホールにてシンポジウム「宇宙技術・地理空間技術を利用した社会イノベーション 〜スキルと知識を超えたコンピテンシーによる人材育成〜」が開催されました。文部科学省宇宙開発利用課宇宙連携協力推進室長・藤森昭裕氏からのご挨拶にはじまり、G-SPASEプログラムの活動紹介、3人の招待講師による基調講演、11人の学生による3分間TED形式の研究発表、研究ポスター展示、パネルディスカッションが行われ、総勢96名の来場者にお越しいただきました。

藤森昭裕氏(文科省) 柴崎亮介教授(東京大学)

第一に、日本トップリーグ機構の加藤進氏からは「トップアスリートにおける人材育成の現状と未来」と題して、現役を引退しても活躍できるスポーツ選手の人材育成についてお話いただきました。社会に出ても活躍できる選手は判断力、コミュニケーション、集団の中での自分の立ち位置を把握する能力に優れている。選手が成長できるかどうかはインタビューの受け答えを見ると大体分かるという言葉が印象的でした。

加藤進氏(日本トップリーグ機構)

第二に、Institute for a Global Society株式会社のファビアン・ルディエ氏からは「グローバルリーダーへの道~コンピテンシーに基づく人材育成」というテーマで、コンピテンシーの概念、教科型からコンピテンシー中心の教育へ移行した米国の大学教育最前線であるシリコンバレー・ミネルバカレッジについてご説明いただきました。

Fabien Roudier氏(IGS)

第三に、開成高校英語教諭の山田雄司氏からは「開成高校カレッジフェアにおけるG-SPASEとの連携による人材育成」、今年の5月~7月にかけて高校と大学が連携した教育機会の提供についてご紹介いただきました。加えて、コンピテンシーと関連付けて、開成高校では文化祭委員長など、勉強以外で評価される環境が整っている。先生同士で「あの生徒は大物になりそうだよね」という話はするけれども、具体的な言語化ができていない状況など、教育現場での経験を語っていただきました。

山田雄司氏(開成高等学校)

次に、11人の代表学生が研究プロジェクトについて、下記のテーマで3分発表をTEDスタイル形式で行いました。

1)「都市マッピングと分析のインフラ開発」
2)「アジア地域における基準局設置」
3)「タクシープローブデータを利用した情報分析と交通渋滞の緩和」
4)「小型ウェアラブルGNSS+センサーデバイス開発及びデータ利用」
5)「訪日外国人観光客を一括りにして考えないで、
位置情報を活用して細かく分析してみよう!」
6)「テレプレゼンス技術を利用した災害発生後の医者と患者のQOL向上」
7)「トータルサポート~早期避難警報から発災後マネジメントまで~」
8)「マレーシアにおけるパームヤシ植林支援の効率化」
9)「地理空間情報で対峙するマラリア:
スマートフォン+モバイル顕微鏡+コミュニティ」
10)「屋内測位技術に基づく混雑緩和サービスの設計と評価」
11)「UAVによるパンガン島ココナッツ畑の問題解決」

宮澤聡(東京大学) 土倉弘子(東京海洋大学)

Saurav Ranjit(東京大学) 太田千尋(慶應義塾大学)

和田健(東京大学) 佐藤亮(慶應義塾大学)

鶴田未奈美(東京大学) 増間智昭(慶應義塾大学)

Nuntikorn Kitratporn(東京大学) 水村潔美(慶應義塾大学)

小林海斗(東京海洋大学) 久保信明准教授(東京海洋大学)

更に、パネルディスカッション「スキルと知識を超えたコンピテンシーによる人材育成」では、学生からG-SPASEの活動を通じて、人前に出ること、環境として本物が与えられていて転ぶ練習をさせてくれること、専門性が近い人でない人たちと議論する機会が与えられていることなどを話してもらいました。G-SPASEの活動の強みは、現場があること、学生同士で気づいて切磋琢磨できることが挙げられました。さらに、G-SPASEの教員からは人材育成の心がけとして以下のお話がありました。

小塩先生(事業構想大学院大学)
「誰と組むとダイナミズムがつくれるのか把握することが大切」
「コンピテンシーのありかたとしては自分の強みを自分で定義できること」

古橋先生(青山学院大学)
「物事に取り組む時はPDCA(Plan・Do・Check・Action)サイクルでは間に合わない。レスポンスの早さが鍵を握るOODA(Observe・Orient・Decide・Act)サイクルというものがある。プランを立てる前に観察することが大切」

柴崎先生(東京大学)
「大学院の教育は一品生産。色々なきっかけを与えることが大切。責任所在は少し不明だが、遊びの要素を加えることを心掛けたい」

G-SPASEプロジェクトの教育活動の目標は、国際社会の舞台で活躍し、実社会で課題解決をリードしていける人材を育成することです。今後も産官学一体となってG-SPASEプロジェクトを進めていく機運が高まる会となりました。今後、2月に1年の活動を締めくくる最終成果報告会が予定されています。学生による研究成果をご報告することを楽しみにしています。

パネルディスカッション(2)