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21

SEP

2015

G-SPASE サマースクール

離島で学ぶ3日間

2015.09.21 ~ 2015.09.23

タイ パンガン島

  • CATEGORY: ワークショップ

Summer School
多彩なメンバーの集まるG-SPASEのサマースクール。2015年度はタイの離島、パンガン島で、地域の課題解決に向けたフィールドワークから解決策の提案までを行いました。


多様なメンバーで島の課題解決に奔走
2015年度におけるサマースクールは、宇宙インフラとG空間を用いて「現地住民とともに島の課題発見及び解決へ寄与する」ことを目的として実施されました。多様なバックグラウンドの学生が3日間、各々の専門性を活かしたソリューション生み出し、現地の課題解決への貢献を目指しました。課題発見のためのフィールドワークでは、学生が現地を自分の目で見て感じながら島の課題を発見し、その課題に対してワークショップ形式で課題の根本原因分析及び新規解決策の提案に向けてアイディエーションを行いました。最終的には、村人や政府機関の研究者へのプレゼンを通して、意見交換を行いました。

本プログラムには、東京大学、慶應義塾大学、東京海洋大学、事業構想大学、アジア工科大学院大学の5大学から7名の教員と29名の学生が参加しました。研究分野は多岐に渡り、それぞれの大学で強みとするGIS(地理情報システム)、UAV(無人航空機)など宇宙技術や空間情報を駆使しながら、その専門性を用い、システムデザイン手法を活用して住民とともに課題解決に取り組むこと
ができました。各チームメンバーは、直射日光の中で汗を流し、徹夜してソリューションを完成させました。最終プレゼン後には、参加学生の誰もが大きな達成感を覚えるほど、学生それぞれがタフさと持ち味を発揮した3日間でした。


G-SPASEとパンガン島
東京大学は、タイにあるアジア工科大学院大学(AIT)に教員を派遣し、宇宙システムデータや地理空間情報技術の利用拡大に関する活動を行っています。最近は特に、現地との共同プロジェクトの立ち上げを勢力的に行っており、現在、パンガン島のあるタイのスラートターニー県のOffice of Agriculture Research and Developmentと森林のモニタリングやバイオマス推定の共同研究を行っています。この活動の中で、パンガン島の村長さんから島のココナッツ林の病害虫などの環境問題、エコツーリズムなどの観光問題、観光客と住民の間の社会問題などについて相談を受けました。そこで、宇宙インフラを利用した課題解決を目的としたワークショップを開催することになりました。今後も継続してワークショップを行い、成果を元にパンガン島の研究者や村長さん
と一緒に、タイ政府に対して提案していきたいと考えています。

パンガン島ロケーション

パンガン島は、タイランド湾西部に位置する人口約1万1千人の島です。名前の「パン」とは接続語で、「ガン」は「砂の柱」という意味。タイ本土から空路があるサムイ島からフェリーで北へ30分の距離にあり、海の観光地として世界中から脚光を浴びています。
主産業は、観光業・農業・漁業。島の南端では、毎月満月の夜にフルムーンパーティ(満月祭)が開催され、主に欧米の若者を中心に月に2万人を超える観光客でにぎわいをみせています。
ココヤシの木が産地として有名で島のいたるところで栽培されており、白く柔らかい砂浜が特徴とするビーチとともに南国気分を味わうことができる東南アジア随一のリゾート地です。

サマースクールでの解決案提案までのデザインプロセス

1. Setting
〈1日目〉
・チーム分け
 チーム内でのモチベーション共有
・テーマ決め(農業、教育、観光など
 のテーマの中からチーム毎に決定)

2. Discussion
・課題の設定(地理空間情報のオープンデータを活用しながら、チーム毎にテーマにおける課題を設定)

3.Fieldwork
〈2日目〉
・全員でのフィールドワーク(歴史的建造物、ココナツ農場、家畜飼育場)
・チーム毎のフィールドワーク(ウェアラブルカメラ

4. Idiation
1. 課題解決策のアイデア出し
2.アイデアの整理と選択(実現性と社会的影響度の高いアイデアを選択)
3. 選択したアイデアのサービスとしての具体化(顧客価値析によって継続的なサービスを設計)

5. Presentation
・チーム毎の最終発表

6. Feedback
・村の関係者からのフィードバック
・参加者投票による最優秀チーム決定
・村長の講評

チームインタビュー

UAV(無人航空機)を利用して虫害を解決!

今回のプログラムでは、5つのチームに分かれて課題解決ワークを行いました。どのように解決策提案まで行ったのか、1つのチームに聞いてみました。

ーどんな課題に取り組んだのですか?
パンガン島ではココナッツ栽培がとても盛んですが、害虫の被害で枯れてしまう木が多く、いまだに有効な対策がとられていません。そこで、この問題に対する解決策をデザインすることに挑戦しました。

ーなぜ、その課題を選んだのですか?
島で一番の課題であると紹介されたことがきっかけです。実際に、枯れかけているココナッツの木を至るところで発見し、ぜひ自分たちの手で解決策を考えたいと思いました。

ー調査にUAVを利用するとは、斬新ですね。
はじめは、衛星を使ったリモートセンシングによるデータ解析を考えていました。害虫の発生原因と駆除方法に意識が向いていましたね。ところが、アジア工科大長井先生より、ココナッツの葉の診断が害虫の影響を食い止めるのに重要という意見をいただきました。ちょうどUAVを持参してきたメンバーがいたので、地上からは確認しづらい葉をUAV搭載のカメラで診断しようという
ことになりました。実際にココナッツ農園へ行ってUAVを飛行させ、写真を撮るというデモを実施しました。

ー今後はどうしていきたいですか?
現地の農園の方がUAVを操縦し、活用することができるためにはどうすればいいか?という点を検討したいです。そこからさらに、課題を洗い出して対策案を作り、もう一度現地を訪問して対策案の仮説を検証したいです。

最終発表のテーマ

1. パンガン島の動物の生息場所
海だけでない新しい観光要素として、島の野生動物の生息マップを観光客参加型で作成するアプリケーションを提案

2. Pha Ngan Young Tour
現地の子どもたちに英語を教えることで旅費を安く抑えることができる教育ツアーを提案

3.ココナッツやしの害虫駆除効果調査と解決策の提案
島の特産物ココナッツの樹の保護について方策を提案

4. サンゴ礁にやさしい船舶ルート
測位衛星を用いた、サンゴ礁にやさしい船舶ルートの可視化システムの提案

5. 虫害のモニタリングの改善提案
UAVを利用したココナッツの木の虫害モニタリングの改善


参加者の声
G-SPASEサマースクールを通して現地の子どもたちに英語を教えることで旅費を安く抑えることができる教育ツアーを提案

慶應義塾大学:西野瑛彦
G-SPASEでは、一人一人が目的意識を持ちながら、国や組織を超えて連携し、お互いにスキルを磨きあって課題解決に取り組んでいます。今夏のサマースクールでも、現地の課題を各人が自分の眼で見て発掘し、多様性を活かして価値を協創しました。新しい視点、構想、繋がりの輪が国際的に拡がっていくことが、G-SPASEの強みであり、魅力であると感じています。

東京海洋大学:土倉弘子
私は衛星測位をテーマとしている研究室の学生としてG-SPASEへ参加しました。多様なバックグラウンドを持つメンバーが参加しており、幅広い意見、知識、技術の共有ができることが、この活動の大きな魅力であると感じています。サマースクールは3日間という短期間ではあったものの、課題解決までの一連のプロセスを実践することができ、他では体験し得ない貴重な経験とな
りました。

事業構想大学院大学:黒田千佳
このプロジェクトが、宇宙と地上インフラを統合した様々なサービスを創出する場となっていく実感を得ることができました。言語や文化の壁を超え、互いを尊重しつつ、さらなる異分野とのコラボレーションの場として成長していく自由闊達な雰囲気が見事で、これからが益々楽しみです。

アジア工科大学院大学:Anussara H.
アイデアソン、ブレインストーミングなど、各々のアイデアを形にするための手法を学ぶことができました。異なる専門を持つメンバーとのアイデア交換は非常に刺激的で、非常に満足しています。

東京大学:宮澤聡
今夏のサマースクールでは、日本だけでなくタイの学生も交えて島での課題を発見し、空間情報の視点からの解決手法を議論し提案しました。空間情報への興味に基づいた国際的なコラボレーションは盛り上がり、手法主導の提案と現地の問題意識の違いを実感するなど有意義な体験でした。

タイ パンガン島